碧眼に滴る漆黒

□22.風波をたてる番犬
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エレンは今回、重要なカギだ。声を掛けておく必要はあるだろう。



でもエレンとは前に告白されたという事実がある。あれからは顔を合わせていない。



年の差を考えれば対応を悩む必要もない。向こうは未熟な餓鬼だ。いつもどうりに振舞えばいい。



「エレン、」



でもそう考えたこっちが未熟だったかもしれない、エレンの表情を見てそう思った。



「ハルさん!」



まるで飼い主を見つけた犬のような感じでいかにも嬉しそうな表情をしてこちらに振り返り駆け足でそのまま抱き着いてきた。



ハルはその行動に驚きながらもなんとか片手でやんわりとエレンを受け止めた。



「ハルさんも今日来られてたんですね!お久しぶりです!」



これは犬だ。完璧な犬。尻尾が見える。



「・・・・お前犬か。」



向こうはなかったことにしようなんてのは思ってないようだ。エレンの瞳がそれを語っている。



エレンはぎゅっとハルの背中に服を掴んだまま離れようとはしない。



ハルもそれを察し驚きを超え呆れたように小さくため息をついた。



『『『『エレーン!!なにしてんだ!あの馬鹿!!』』』』と遠くでその様子を見ていたリヴァイ班は心の中で叫んでいた。



エレンは自分の気持ちを言葉にしてから自分自身引っかかってたものが取れたようにハルへの気持ちを認めていた。



ハルが手の届かない人だというのもエレンは分かっていた。少しでもこの人の心に残りたい。そういう気持ちは止まるわけがなかった。



「じゃあハルさんが飼い主ですか?」



とエレンは軽く首を傾げながら大きな瞳を揺らす。



あざとい。なんてあざといんだ、この餓鬼。若けぇって怖ぇな。



「ちげーよ。こんな犬飼った覚えはない。」



そう言いながらもすぐ突き放さないハルにエレンは微かな期待を覚えた。



エレンは内心衝動的に飛びついてしまったことに動揺していた。エレン自身そういうつもりはなかったからだ。



でも実際ハルを前にして抑えがきかなくなったのだ。



「ははっ、すいません」



「餓鬼。」



そんな二人の元にもう一人テンションの高い人物が近づいてきた。



「おっ!ハル!懐かれてるねぇ〜!そんなに仲良かったっけ?」



ハンジは初めて見たその組み合わせに興味津々に近づいてきた。



「こいつが勝手に懐いただけ」



「俺、ハルさんのこと好」



その瞬間にエレンの顎を掴んで言葉を遮断した。こいつ、今なに言おうとした。殺すぞ。



ハルはエレンを睨みながらそのまま手に力を込めハルの体からエレンを引きはがした。



「いつまで抱き着いてんだ。馬鹿が。」



エレンは顎に加わる握力に「ん〜!!」と叫んびながら両手でハルの手を剥がそうとするが握力で適うはずもなかった。





 
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