碧眼に滴る漆黒

□28.無価値な振る舞い
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「ひゃっほーう!!晩餐会とか久しぶりのご馳」



ガッ



ハルは微笑みながらハンジの顎を掴んで黙らせた。その前に息が止まりそうだ。



「騒ぐなよ?」



不敵の笑みだ。表情と行動が違う。ハンジはハルの手の力に抑えられながら頷いた。



ハルはそれを確認して手を離した。ハンジは赤いドレスを身に着けておりハルの声掛けで眼鏡からコンタクトにしていた。



髪はアップになっておりペトラがしてくれたものだ。ハンジはこうしたらまだマシだが中身がまともじゃない。



ハルはエルヴィンの方に振り向き王都の宮殿を前にしながら階段を上るエレン待っていた。



「ハル、今日は結うことにしたのか。」



とエルヴィンはハルの髪型を見て言った。ハル自身髪を結ったのは久しぶりだ。



「あぁ、合ってないか?」



いつものようにそう口にするがそれは周りの目ではなくエルヴィンの目を気にしている印だ。ハンジはそんな二人を見ながら相変わらずだ、と思った。



「いや、似合ってる。」



そう言われハルはつい頬が緩んだ。



「ちょっと、ハルさん待ってください・・・・。」



とハルの後ろからすでに疲れたようなエレンの声が響いた。きっとこの長い階段と雰囲気の気疲れだ。



実際王都はその敷地に入ると整われた銅像に観葉植物、飾り付けも豪華でエレンが緊張するのは十分だった。



「疲れるのはえーよ。あと4時間弱は我慢しろよ。」



「は、はい・・・・。」



とエレンはやっとハルの隣に並ぶ。エルヴィンもエレンに「大丈夫かい?」と優しく声を掛けている。



エレンは「ありがとうございます、」と答えながらエルヴィンを見た。



「君もその髪型似合ってるね。自分でセットしたのかい?」



「あ、いえ!ハルさんにして頂きました!」



とエレンは頬を緩ませながらハルを見た。ハルはそのエレンの視線からずらすように宮殿の奥を見た。華やかな衣装を着た人たちが大勢いて嫌気が差した。



ハルさん、か。



エルヴィンは「そうか。エレンにぴったりだ。」と答えながらもエレンの言葉が気になった。



「エルヴィン、時間だ。」



そう後ろから来たリヴァイが時計を見ていった。エルヴィンは頷き宮殿の中へ足を進めた。



ハルはリヴァイの隣に位置を変え「リヴァイ、頼むぞ。」と耳もとで声を掛けた。



ハルはエレンが危機にさらされる可能性を考えエレンを気にするように声を掛けていた。



それはもちろん全員も同じことだがエルヴィンは立場上エレンをずっと気にすることは出来ないだろう。貴族の相手も欠かしてはならない。



「テメェもな。次変な女に引っかかってみろ、許さねぇぞ。」



リヴァイはハルのネクタイを引っ張り引き寄せ、ハルに耳打ちするように言った。



ハルは微かに心臓が鳴ったのを感じながら「あぁ、分かってる。」と呟くように答えた。
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