碧眼に滴る漆黒

□12.衝動は待つことを知らない
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「エルヴィンと仲直りしようとは思ってないのか」



「んなわけないだろ、ずっと思ってる。どう話しかけてどう謝れば許してくれるか・・・・。」



ハルは少し気分が悪くなり水を飲もうと上体を起こしてソファーから立った



「おい、」



「水、貰うぞ」



引き留めようとしたリヴァイにそう答え後ろの棚の上にあるコップと水差しを手にした



ハルは昔からエルヴィンのことばかりだ。それはリヴァイが一番知っていた



「そういや、俺がエルヴィンに掴みかかっただろ」



そのリヴァイに言葉にハルも思い出すように言葉を発した



「あ、そうだ。急に押さえつけたのは悪いと思うが理由も言わないお前も悪い」



「あれはその女をハルが抱いたと聞いて資金の上乗せのためにエルヴィンが指示したと思ってしまったんだ」



「ははっ、エルヴィンはそんなことしないよ。・・・・いや、させちゃいけないんだ。だから俺がその下衆役をする」



ハルはコップに水を注ぎ口に流す。喉から水が流れていくのが分かった



そうだ、エルヴィンは中心にいるべき人物だ。だからそんな役が必要なら俺がすればいい。



「優しいこった」



「まぁ、腐れ縁ってやつかもな。俺は一生エルヴィンの下につく、アイツになら命を捧げてもいいと思うよ」



ハルはコップを置きコップの中に残る水滴を見つめた



エルヴィン、エルヴィン。今のリヴァイにとっては嫌悪感しか感じなかった



エルヴィンばっかりだ。なんでアイツなんだ、なんで俺じゃない。俺はずっと前からコイツのことが好きだってのに。



リヴァイはソファーから立ちハルの方に足を進めていた



「俺はエルヴィンの傍に居れたらそれでいいと思う。でも俺は今回やり過ぎた、エルヴィンの信用を無くしたらそれで終わりなのに」



ハルは睫をすこしおろしどこか悲しそうな表情をしていた、まるで今にも泣きだしそうな。こんな表情をさせるのはエルヴィンしかいないんだろう



この男は残酷だ。人を惹きつけておきながら蜜を与えず、決めてる一匹だけに蜜を与える。



「なぁ、でももし今回のことで君は必要ないと言われたら俺はどうすればいいと思う?」



その瞬間にハルは急に後ろから腕をすごい力で引っ張られバランスを崩した。いや、少し浮いたというのが正しいか



「っ・・・!?」



ドサっ



体に来ると思ってた衝撃は来ず背中に柔らかな感覚があった。目の前視界はリヴァイが覆っていた。



「俺のものになればいい」



そのときに自分がベッドに投げられたことが分かった。両腕はリヴァイに抑えられていてお酒で力が入らないどころか抜けていき身動きが取れなかった



「・・・・・リヴァイ?」



どうした、なにをしてる?ハルは頭が回らなかった。ただリヴァイが何を考えているか理解できなかった



「お前はエルヴィンのことが好きなのか?」



ドキ、とハルの心臓は大きく跳ねた。



「なっ・・・!?・・・・もういいからどけろ!」



「どけたら逃げちまうだろうが」



「・・・・お前、どうしたんだ?」



余裕がない、その時のリヴァイはそんな顔をしていた。ハルは分からずリヴァイの掴まれてる手を外そうと腕に力を入れるが全然力が入らない



「俺はお前が好きだっつてんだよ。ずっとだ、だからお前の傍についてた」



「・・・・酒とか飲んだか、お前」



ハルはリヴァイの急な告白に混乱した。酒とか飲んで頭が緩くならないと誰だってこんなこと言わない



リヴァイの黒髪がハルの顔にかかる。



「飲んでねぇ。飲んでんのはテメェだろうが。・・・・お前がそうやってエルヴィン、エルヴィンって言うのも酒が入っていつもより頭が緩んでるからだろ。でもそれはお前の本心だ」



リヴァイの目が鋭くハルの碧眼を見つめる。その目を見てリヴァイは至って真剣だと確信した



確かに普段ハルはエルヴィンの話ばかりする訳ではない。だから周りからはエルヴィンよりリヴァイの方が仲がいいと思っている兵は少なくない



「・・・・・・違う」



そう弱弱しい声が部屋に響く。ハル自身もうだいぶ前から分かっていた。



エルヴィンに抱いているのはは憧れのみのではないと着実に好意に変わっていった。でもそれは抱いてはならないものということもハルは分かっていた



だからハルは変な行動は起こさずだたエルヴィンに忠実に尽くした。この気持ちがエルヴィンにバレて避けられるのがよっぽど嫌だからだ



「エルヴィンに嫌われるのが怖いってか?」



あぁ、ダメだ頭が働かない。きっと下手に言い訳したところで墓穴を掘られるだけだ。何も言わない方がいいだろう



「黙れ」



「・・・・それは俺じゃだめなのか」



そう言ったリヴァイの表情がとても悲しそうに見えた。今の自分にとてつもなく似ていた



酒なんて飲むんじゃなかった。



ハルはリヴァイの近づく顔に抵抗しなかった。



そっと唇が重なった。触れては離れ触れては離れを繰り返してリヴァイの口がかすかに開き舌がハルの唇に触れた



その感覚にゾクッとした。前に体重を掛けたおかげで抑えられた腕に余計重みがかかるのが分かる



リヴァイの清潔感のある香りが鼻をくすぐり、リヴァイの舌が口内に入ってくる



リヴァイも今更止められるわけがなかった。ハルの髪は乱れ酒のおかげか碧眼は潤んでいる



キスをして唇を塞げばハルはキュと目を閉じ酒の味がリヴァイの口内に広がった。リヴァイはハルの舌を絡め深く深くに舌をしのばせる



お互い徐々に体が熱くなってきた。リヴァイは唇を離し、ハルの両腕を上に束ね左手で強く抑えてやりシャツのボタンに手を掛ける



「ちょ、っと、待て」



呼吸は整っておらず途切れ途切れに言葉を発する。抵抗を起こす気も全部吸い取られていくようだった。



ハルの制止の声も聞かずボタンを外す。すると第3ボタンを開けたところでリヴァイの手が止まった





 
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