情報屋と金木くん
□甘いカフェオレ
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葵side
この日俺はカフェに来ていた
繁華街にできた新しいカフェは外にテラスもありガラス張りになっている
壁紙もシンプルな色使いをしていて最近のオシャレな感じだ
俺はその中机に座り注文していたカフェオレを口にしていた
机の上にはファイル。
いつもの仕事の時間だ
3時20分。時計を見てついため息がついた。
時間にはルーズです、ってか。
すると店の入り口からポップな服を着た少年がカラン、と入ってきた
身軽そうにこちらにステップを踏んで近づいてきた
「お待たせしましたです!」
「遅刻だよ。20分。」
「細かいですよー」
と呑気な様子で鈴屋は正面の椅子に座った
俺はその様子に肩をおろし仕事を始めることにした
「前鈴屋さんが依頼していたアオギリについて。最近の動向とアオギリのメンバーのことをこれにまとめてるから」
と机の上に置いていた書類を手渡すと鈴屋はそれを取り興味ありげにページをめくってみている
「・・・すごいです、物知りですねぇ」
「まぁ、仕事だからね。鈴屋さんも喰種退治が仕事なんて大変だね」
「そんなことないですよー、楽しいです。」
そう言いながらも彼の視線は先ほど渡した書類から離れようとしない
「怪我とかしたことないの?」
俺も机にあるカフェオレを口にしながら話した
「そうですねぇ。捜査員になってからはないです」
「鈴屋さんが強いんじゃない?ほら捜査員の人ってクインケ?だっけ、喰種の赫子を使ってるんでしょ?」
なんて最近知ったみたいな口調で聞いてみる
「そうですよ。僕も最近変えたばかりなので早く使いたくてうずうずしてるです」
あぁ、前はナイフ状の尾赫だったっけ。やっぱり変えたのか。
「いいねー、どんなクインケに変わったの?」
と大して興味をもってないように机に肘をついて鈴屋をみる
警戒されてはこちらも情報収集にならない
「僕は大鎌型の鱗赫です。ジェイソンっていうです」
大鎌型、ねぇ。珍しいものを持ってる。
身体能力は良いしこんなの扱われたら喰種でも厄介だろう
「名前付けてるんだ?」
「当たり前です。葵さんはクインケとか何か武器は持ってるんですか?」
「持ってないよ。クインケは上手く使えこなせそうにないし武器を持ったところで俺は身体能力も鈴屋さんみたいに良くないからね」
クインケは家にはあるが持ち歩けば目立つし俺はどうもうまく扱えない
武器は最低でも持ってるけど、正直喰種に襲われたらひとたまりもないかな
「ふふ、そんなこと言ってたら喰種に食べられちゃいますよ」
「その時は今回の借りとして鈴屋さんに助けてもらわないと。」
なんんて冗談気に言うと「いいですよー」と適当な返事が返ってきた
「あ、それなんですか?」
と鈴屋は先ほどまで飲んでいたカフェオレを指さした
「カフェオレ。なにか頼む?」
「いや、こっちでいいです。」
とすっと俺の飲んでいたカフェオレが取られそのまま一口飲んだ
「うわ、甘いです」と眉をしかめて言う姿に容姿からかつい幼さを感じてしまう
「そんなに甘いかな?」
「いや、僕あまりカフェオレ好きじゃないんです。」
じゃあなぜ飲んだ、と心の中で思いながら鈴屋を見る
「飲まなかったらよかったのに」
「なんか人が飲んでたら美味しそうに見えるというあれですよ」
と再びカフェオレが机に置かれた
「なにそれ。子供じゃないんだから」
「あ、馬鹿にしてるですか?」
「ははっ、バレた?」と冗談気に答えてみせる
「なら葵さんはピエロにみえるです。」
「ピエロ?」
コイツも勘が働くやつだったな。
だから苦手なんだ。
「はい。隠し事の多い多重人格者です。」
「酷いなぁ。」そう言うと鈴屋は時計を見て「あ、休憩が終わるです」と席を立った
「そう?じゃあ仕事頑張って。」
そう言うと鈴屋は手を振って「ありがとうですー」と言いながら店を出て行った
俺はその背中を見送ってつい舌打ちをしてしまった