情報屋と金木くん

□委棄
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葵side










その日は災難だった



災難、なんてレベルで終わればいいが。



夜の街灯も出てない道路にただ走っていた



右腕と胸、足に痛みを感じながら人気のない道路に響くのは裸足の足音と呼吸の音だ



靴もどこで脱げたんだか、



もうそんなことはどうだっていい。



やっぱりクインケくらい持っておくべきだった



道路に太腿から流れる血の跡をつけながら痛みなんて無視し足を動かす



肋骨も何本かいってる。



必死に酸素を取り入れる動作さえ苦痛だ



近くに見えたビルの間に壁にもたれながら身を隠した



「ってぇ・・・」



俺はそのまま壁にもたれながらしゃがみこんだ



あれは迂闊だった、



そう思いながら腕の抉られた傷口を抑える



他の喰種に情報を売りに行ったとき不意に狙われた



他の喰種の気配くらい注意しとくべきだった



多分襲ってきたのは前俺が情報を売った喰種からだ



クソ、売ったのがバレたか。



後ろから狙われ向かってくる赫子に気づくのが遅れた



幸いなのは周囲に建物が多くて撒けた事くらいだ



でも安心はできない



特に喰種は血の匂いに敏感だ



止血しようと怪我をした腕や太腿を抑えるが痛みで力が入りそうにない



正直体力も限界だ



こんなとこでとか、



あっけねぇな。



既にもう力は入らず手が地面にずり落ちた



やべ、頭がボーっとしてきた。出血しすぎたか。



「・・・・葵さん?」



薄れた意識の中確かにその聞きなれた声と道路からこちらを見る白髪の男が見えた



だれ、だ



呼吸もそのまま浅くなり俺はそこで意識を失った








 
 

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