アニと死にたがりな俺

□5.巨大樹の森
1ページ/4ページ

瑞希side












「これより第57回壁外調査を開始する!!前進せよ!!」



エルヴィン団長の声が響き門が開く



俺たちにとっては初めての壁外調査だ



これで何人がまた命を落とすのだろうか



みんな緊張感のある表情をしている



あぁ、みんな覚悟してんだ



緩んだ表情をしている奴なんか一人もいない



列が前に進んだ



俺たちもリヴァイさんの後ろを追うように馬を走らせた



馬に揺られながら昨日のことをふと思い出した



『エルヴィン団長、お呼びでしょうか』



『あぁ。君も作戦に参加してもらいたい』



『作戦・・・・?』



『明日の壁外調査の本来の目的は巨人を捕えることだ』



『巨人を、ですか?』



『君は敵は私たちの中にいると言っただろう。ヤツは必ず明日現れる、エレンを目的として』



敵の・・・巨人・・・。



中身は人間



きっとエレンと同じ原理だろう



明日現れると断言できるのは敵側が明日しかチャンスがないからだ



だから前の時にあそこまで情報を漏らしたのか・・・・。



『俺は何をすればいいですか』



『君はリヴァイ班だね。目的の位置までその敵を誘導してほしい。』



『そこで罠を仕掛けるんですか?』



『あぁ。そこで捕えようと思う、ヤツもきっと巨人の姿で現れる。巨人で思考力があればとても厄介になる。情報の漏えいは許されないぞ』



『はい!』



『この作戦を知っているのはごくわずかだ。誰にも漏らさないでくれ』



『分かりました!成功させます』



『・・・・あと君の成績は聞いてる。個人の判断はゆだねる』



『はい・・・。』



巨人の身をまとった人間か・・・・。



ホントどんな顔してんだか



陣営はそのまま巨大樹の森に入った



すでに陣営は乱れ作戦は決行されている



奥にいるエルヴィン団長たちは罠を仕掛けているはずだ



その一方で右の方から地面に振動と大きな足音が伝わる



あぁ、コイツか



まだ姿が見えないが15mほどだろう




俺的には捕えるなんてせずにいっそ殺してやりたい



心臓と頭だけ残しとけば十分だ



舌を噛まれたり自害されるのが一番厄介だ



ならその気力さえ奪えばいい



リヴァイ班のみんなも動揺し始めていた



「お前ら、剣を抜け」



そうリヴァイ兵長が言った途端みんなの表情が変わった



その言葉は敵の巨人がこちらまで迫っていることを表しているからだ



「それが姿を現すとしたら一瞬だ」



俺もそれに従い剣を抜いた



その時、右の方からすごい速さで走ってくる巨人が見えた



そのまま俺たちの上を飛び体制を整えてこちらに向かって走ってきた



恐怖、焦り



みんなそんな表情をしてる



その女型の巨人は早かった



「追いつかれるぞ!」



「兵長!立体起動に移りましょう!」



さすがに距離のなさにみんな動揺していた



リヴァイさんは何も言わずただ馬を走らせた



それがみんなへの指示なのだ



後ろから増援が来てもほんの一瞬で消された



女型の巨人の動きは無駄がなく攻撃的だ



その巨人の動きに命の重さなんてない



人間はこんなにも無力なのか



そう感じさせられた



にしても近すぎる。



もう追いつかれてしまう



俺は剣を構えて後ろを向いた



「瑞希!なにしてるの!!」



「・・・・っ、近すぎます!」



これじゃあ目的地に着く前に追いつかれてしまう



時間が稼げるとは思わないがエレンが殺されれば元も子もないのだから



風になびく中に巨人の金髪の間から瞳が見えた



恐ろしいはずなのにアクアブルーの綺麗な瞳だと思った



アニの色だ



俺の好きな色



あぁ、憎むはずの巨人なのに殺したくない



女型と言うことは中身は女じゃないのか



「アニ・・・」



そう呟いた声は風に掻き消された



ただ一瞬巨人の瞳が揺れた



その瞬間だった



「打て!!!」



ドォォオン!!!



同時に激しい銃声のような音が森中に響いた



俺は急な振動に体制を戻した



もう目的地まで来てたのか・・・。



「俺と瑞希は少し外す。判断はオルオに任せた」




「「「はい!!」」」



と俺とリヴァイさんは列からずれ先ほどの場所にターンした



立体起動装置を起動させ木の上に上った



上から見た巨人はうなじを守った体勢のまま身動きが取れなくなっていた



その姿を辛く見てたのはきっと俺だけだ



アニに似ていると思ったらアニが捕えられたのと同じぐらい



離せよ



中の奴も早く出てくればいい



アニに似てるなんて思わせるな



どうやら皮膚を固く覆うことができるようだった



さっきから攻撃を仕掛けるばかりだ



俺はその姿を見てることしかできない



いっそ俺が仲の奴を引きずりだして・・・。



その時女型の巨人が叫んだ



するとあらゆる方向から巨人が走って向かってきた



それはその巨人が考えたことだろう



どんどん女型の巨人が他の巨人に食われていく



それはあまりにも無残だった



クソっ・・・!



待てよ、



コイツなにしてんだ



自害なんかさせない



お前を捕えるのに一体何人死んだと思ってんだ



俺はそのまま刃を巨人たちに突き立てていた



「このっ・・・・!!」



シュバッ!!



そのまま俺は何体巨人を殺したかは覚えてない



「撤退!!」



エルヴィン団長の判断だ



でもそのあとも俺の腕は止まらなかった



あと40体もいない



殺す



無理な数字なんか分かってた



ただあのアクアブルーの瞳が離れなかった



「瑞希!・・・・瑞希!!撤退だっつてんだろ!!」



「っ!・・・リヴァイさん、巨人を殺しましょう!」



「やめろって言ってるのが分かんねぇのか。クソ餓鬼が」



俺はリヴァイさんにそう言われて腕を止めた



そしてふと頭を働かせた



中の人間の姿は見ていない



瞬間的に逃げたのだとしたら



相手は起動装置を持ってる



俺たちに成りすまして逃げた



・・・・いや、もし逃げてないのだとしたら・・・。



チャンスは今日だけ



「!・・・・エレン!!」



俺はそのままエレンたちの進んだ方向にガスを吹かせた



エレンたちが危ない・・・!



もし、女型の中の人間を捕まえたら俺が殺してやる



彼女に似ている部分があるだけで腹が立つ



八つ裂きにして殺してやる






 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ