碧眼に滴る漆黒

□2.希望の光
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ウォール・ローゼ南端の突出区画トロスト区に超大型巨人が再度出現し扉が破壊された。二度目の悪夢だ



侵入した巨人からの防衛作戦が駐屯兵団と旧第104期訓練兵団卒業者達の合同で行われた



人類側劣勢の中に出現した15m級の巨人は対立することのない巨人を殺した



それがエレン・イェーガーだ



それを利用したピクシスは巨人にほぼ制圧されたトロスト区をエレンを中心として奪還する作戦が現場で新たに立案された



巨大な岩を運びエレンによって開けられた巨人の侵入経路を封鎖することに成功した



それは必要な力であり無駄にするわけにはいかなかった



エレン・イエーガーの今後をも決定する審議は予定通りに行われた



審議所に設けられている証言席ではミカサ・アッカーマンが感情を抑えられないように憤りを露わにしそれをアルミンが何とか制しているような状態だった



結果審議は調査兵団が引き取ることとなった



怪我をおったエレン・イェーガーがすぐに処置室に運ばれ審議所に集まった兵たちも解散していく



人数もまばらになった審議所にはまだハルに姿があった



ハルも処置室に向かおうとしたとき視界に見たことのある女性駐屯兵が目に留まった



「リコ・ブレチェンスカ」



この声にリコは振り向き驚いた



ハルとリコはハルがまだ憲兵団に所属していたときに軽く会話を交わしたことがある程度だ



リコにとっては上官に当たり敬意はあるが何を考えているか分からない人物でもあった



それ以来会うことも話すこともなかったが彼が調査兵団に移ったことは噂で知っていた



「ハル補佐官、お久しぶりです」



とリコは軽く会釈した



「あぁ。・・・もっと早く援護に入れなくてすまなかった、多くの死者を出してしまったな」



「いえ、ハル補佐官が気にすることでは・・・」



彼は申し訳なさそうな表情をしてリコを見た



「しかし君の指示なしでは成功しなかったと聞いている。よく頑張ってくれた」



と優しく髪に触れられた



リコにとっては触れられるのは初めてで驚きながら彼を見る



髪に触れた手は割れものを扱うように優しくリコ自身のを落ちた気持ちを掬っていることが分かった



「・・・・いえ、」



「エレン・イェーガーのことはどうか我々に任せてほしい」



彼はそう言って審議所を後にしていった



リコはその後ろ姿を見て肩を落とした



あの人はなんか苦手だ。
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