碧眼に滴る漆黒

□4.トラウマ
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リヴァイは午前中に新兵の指導を終え食事をとろうと食堂に目をやった



リヴァイは基本騒がしくなる食堂で食べることはない



しかし食堂にあるその姿に何の迷いもなく食堂に入った



パンとスープを手に取り一番端の席に向かいアイツの隣に座る



「あぁ、リヴァイか。どうだ新兵の世話は」



ハルはこちらをちらりと見て流れた金髪を耳に掛けた



「馬鹿が2人いる上に訓練も不十分だな」



新兵の訓練の指導ではチビとハンジと同じ髪型した女が対人格闘を遊びみたいにしてやがった



そんなことを思い出した



「よくそんな奴らの世話したな。お前」



「テメェもいっつもしてんだろ」



「まぁな。」



この男は俺が来る前にもう指導者の立場だった



こいつの個人的な指導は酷い



実際に体験した俺だから言えることだ














もうあれから何年経つだろうか。



「ハンジは座学、ミケは立体起動と馬術、ハルは剣術と対人格闘の指導をしてくれ」



「おっけーい!!君がリヴァイだね!!」



「俺はミケ・ザリウスだ。よろしく」



「・・・ハル・キュール」



リヴァイは調査兵団団長エルヴィンから調査兵団への勧誘を受け地上に出た



リヴァイは訓練兵からではなく此処で訓練所に連れられずに直接的な指導を受けることになった



髪をくくった女か男かテンションが高過ぎてうっとおしい



ヒゲのはえた長身の男



端正な顔をした無愛想な青年



その青年は俺より若いのは見てすぐに分かったがとこか特別な雰囲気を出していた



「エルヴィン・・・。」



「あぁ、君に頼みたいんだ。」



その青年に向かってエルヴィンがそう言う



その時俺はクソメガネの相手で精一杯だっただが後で後悔した



「じゃあ対人格闘術の指導をする。」



そう始まったハルの対人格闘術の直接指導。



綺麗な顔したその男は「よろしく。」と碧眼を細めて微笑んできた



「はっ、テメェみてぇな餓鬼に教えられることなんざねぇよ」



はじめからどこか気に入らなかったその男にそう言ってやった



「そうか。じゃあ始めよう」



その顔でも歪ませてやろうか。そう思い地面を蹴った



ドガッ!!



その瞬間に衝撃を受けたのは俺の方だった



空いていた右わき腹を視界の入りにくい足で蹴りあげられた



そのままバランスを崩した一瞬に周り蹴りを一発いれられ壁に身をぶつけた



そして崩れ倒れないうちに足で顔の横を蹴られ壁に抑えられる



体中に走る痛みが顔を歪ませた



な、んだ、これ、



なにもかもが一瞬過ぎてコイツがどうやって動いたのか理解するのに時間がかかった



「俺はエルヴィンの頼みで仕方なくテメェの面倒見やってんだよ。基礎いらねぇんなら応用から始めていいか?」



その時に見たコイツは恐怖を感じさせるような笑みを浮かべていた



コイツは怒らせてはいけない。



俺の直感がそう言った。



この男は力も俺より強く俺を半殺しにしたところで「悪かった。大丈夫か?」とあざとらしく微笑みながら声を掛けてくるのだ



そんなコイツに惹かれた俺も大概だか。



あのころのハルは今よりまだ自分勝手だった気がする



今は大分大人しくなったが態度や性格は変わりはしない



だがきっとこの男の本性を知る者は少ないだろう



俺はそんなことを思い出しながらその男の横で食事を済ませた








 
 

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