碧眼に滴る漆黒

□5.恋慕の助長は突然に
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いつも談笑でに賑やかな食堂では目を疑うメンバーに新兵たちは圧倒されていた



「おい、」



「すげぇメンツだな・・・」



窓際の机一列には訓練兵でも顔を見ればだれか分かるほどの人が揃っていた



「おい、誰だよ。こいつ連れて来たの」



「こいつなんてひどいなぁ、ハル。私はモブリットに言われて食事をとりに来ただけだよ!」



「すいません!ハンジ分隊長〜!」



ハルの正面にはハンジその横にはその補佐のモブリット



リヴァイはハルとミケに挟まれて座っていた



「いい、いい。モブリットも食っとけ」



「あはは!ハルやっさし〜!ていうかリヴァイちっちぇ〜!!」



「殺す」



とリヴァイは机を超えてハンジのとこに行こうとするがハルがリヴァイの腕を抑えた



「机を跨ぐな、はしたない。殺すなら徹底的に殺せ。俺も食事が終わったら加担する」



「うっひゃ!こっわ!」



「ハンジ分隊長!もういい加減してくださいよ!」



「騒がしい食卓だな」



上司たちの机の列に誰も入れるわけもなくただ周りの視線を集めていた



このメンバーがなぜ集まったのかと言えば始まりはミケだった



ミケが食堂で食事をしているのを見かけたハルが一緒に食事をとろうと食堂に寄った。問題はそこからだ。



そのとき食堂の前をリヴァイ通りかかりハルとミケが談笑している二人を見てその間に割りこみ入り、その直後にハンジたちが食事を取りに来たのだ



ハンジがその3人のメンバーを見逃すわけがなくテンションが上がり正面に座ったという流れだ



「お、どうした。このメンバーは」



とそこに更にゲルガーとナナバが通りかかった



「珍しいメンバーだね。私たちも一緒に食事をしようか」



「ナナバ!久しぶりだなー!生きてたお前?」



とハルが笑みを浮かべる



ハルにとってナナバは数少ない友達だ勿論ゲルガーもだ



「もちろん。ハルも逆恨みの女にでも殺されたとばっかり」



「ははっ、その顔歪ませてやろうか」



「それはこっちのセリフ」



この二人の間には入りたくない。誰もがそう思った



それほどの憎まれ口で仲がいいのが不思議だ



「あ!ゲルガーお酒持ってんじゃーん!私たちのためにもって来てくれたんだろー!気が利くなぁ!」



と「え、」と嫌そうな声を出したゲルガーだがハンジにつかまり仕方なくお酒を机の上に置いた



そこからまたお酒が入り盛り上がった



「だからぁ僕は言ったんですよ!危ないです!って!何回も言ってるのにあの人は〜」



「あはは、モブリットが愚痴ってるぞ」



「テメェだろ。クソメガネ」



「モブリットはお酒弱いからねぇ〜」



「この酒10年物か?」



「おぉ!さすがミケ!やっぱお前には分かるんだな!手に入れるのすげー苦労したやつなんだ!」



「へぇ、ゲルガーって酒の味分かるんだ。ただの酒飲みと思ってた」



「失礼だなお前!」



「っるせぇーよ。てかさ俺ら騒ぎ過ぎて新兵ビビってんじゃん」



「上司のバカ騒ぎに飽きれてるんじゃない?」



お酒によって穏便さの欠けたハルはゲルガーと肩を組み新兵の方を見る



ハルは見たことのある顔に声を掛ける



「エレン!」



「っ!はい!」



エレンも急に呼ばれこっちを見る



「一緒に飲もーぜ!まだあるからさー」



「え、でも」



「いいから!!」



「はい!」



そう言うとエレンは慌ててこちらに来た



それを唖然と見送るほかの新兵やこちらを睨むミカサたちが視界に入る



「ミカサとアルミンや他の新兵もくるといい!!」



そう言うとミカサは迷いもなくこちらに来てエレンの横に座り声を掛けていた



「「「はいっ」」」



遠慮がちな声が響き次々とこちらに来る



まぁ、ここで救いだったのが夜であったこととハルたちが盛り上がってる間に食事を終え部屋に戻ったものも多く大層な人数にならなたことだ



「安いお酒ならたくさんあるよー」



とお酒が回ってくるがお酒を飲むものや飲まないものもいた



「す、すごいね・・・。」



「あぁ。でもこんな機会滅多にねーぞ」



とアルミンはジャンに回されたお酒を受け取る



きっと今食堂で何が行われているか知れば部屋で休んでるものも多くがすぐ食堂に集まっただろう



精鋭の上司たちと話をすることはともかく一緒に食事をすることもあまりないのだ



アルミンがお酒を少し口にしようとしたとき後ろから手が伸びてきた



「んぶっ!!」



アルミンはコップを急に傾けられお酒が一気に口に流れる



ジャンはその元を目でとらえ固まった



少し誤嚥し咳き込みながら後ろを見た



「大丈夫?」



そう悪戯気な声と同時に見えた金髪



「ハル補佐官・・・!」



「ははっ、そんな固くならないで?」



明らかにいつもの彼じゃない。いつもより表情が柔らかい。お酒に威力に苦笑いをした。



「よっしゃ!新兵!自己紹介しろ!1人ずつな!」



この人は一体何を言い出すんだと絶句する



明らかに新兵を退屈しのぎにしていた



「それいいねー!はい!ハル補佐官の命令だよー!まず一番左の子からー!」



とハンジがのって言った



此処から新兵たちの良くも悪くもない晩餐会が始まった







 
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