碧眼に滴る漆黒

□6.信頼に隠れた嫉妬
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頭が痛い。



リヴァイは久しく酒を飲み過ぎたと後悔した



リヴァイは文句の一つでも言ってやろうとハルの部屋に行くが彼の姿はない



「チッ」と舌打ちをし隣のエルヴィンの部屋に向かう



ハルは部屋をあけるときエルヴィンに必ず伝えるからだ



コンコン、



「入れ」



その言葉にドアを開ける



「エルヴィン、ハルを見なかったか」



「静かにしてやれ」



その返しにふと気が付いた



団長室のソファーに横たわり睡眠をとっている人間



毛布から見えた金髪ですぐ分かった



腹立たしい。俺の部屋に来ればいいのに。



リヴァイのその胸の内を隠しながらハルの頭側の空いたスペースに座った



「ハルに何か用か?」



「あぁ、ちょっとコイツに文句を言いに来ただけだ」



「そうか。・・・・昨日は食堂で馬鹿騒ぎしたらしいね」



あぁ、もう話が伝わったか。そう思いながら足を組んで目の前の男を見た



「新兵たちの歓迎会みたいなもんだ」



「私も呼んでくれれば良かったのに。新兵とはまだ一度も顔を合わせていないな。」



リヴァイはふと横で寝ている男を見る



丁寧にブーツは脱がれソファーが汚れないようにしてある



テメェ、俺の部屋でもそうしやがれ。と内心毒ずき、顔を覆う前髪を避けてみる



長い睫が降り口元は緩くどこか幼い表情だった



「ハルもお酒が抜けてないみたいでね、話の途中で寝てしまったよ」



「相当眠かったんだろうよ。」



「あぁ、そのようだ。それとリヴァイにも話したいことがあったんだ、ちょうどいい」



「なんだ」



「今週の王都で行われる舞踏会だが夜6時までには出るからそれまでに準備を済ませといてくれ」



舞踏会は兵団代表者や貴族の者との交流会のような場だ



年に数回行われ兵団にとっては資金を寄付してもらう貴族との交流は大事な場でもある



しかしあれほど面倒な場はない。必要以上の気遣いにただ疲労しか残らない



「チッ、めんどくせぇな。別に団長だけでも構わないんだろ」



「そうだな。しかし参加して損はないと思うが」



「損だ。疲れるだけだろぉが。」



「私も命令しているわけじゃないが・・・。いいのか?」



リヴァイも参加することになったのは女どもに囲まれるハルを気にしてのことだった



前みたいに囲まれては堪らないだろう



リヴァイは舌打ちをし「うるせぇ」と答えた



本来ならばハルだって行かなくてもいいのだがそれをハルは自ら行くと口にしていた



その中「ん、」とリヴァイの隣で声が上がった



ハルの碧眼が薄く開きリヴァイを見上げた



「起きたか」



そう言って再び落ちてきた前髪をリヴァイが避けてやるとリヴァイがすぐ隣に座っていることを理解しリヴァイの方へ寄り腿の上に頭を置きなおした



どうやら首が痛かったらしくリヴァイ側に向き再び目を閉じようとした



どうやらまだ眠いらしい



「ふふ、まだ眠たいようだ。」



そうエルヴィンが言うとその瞬間にハルが飛び起きた



リヴァイは心の中で舌打ちをした



「おや、起きたか」



「・・・ごめん、寝てた・・・よな?何かを話してた記憶はあるんだが・・・」



内心焦っているハルを見るのは久しぶりだ



「構わないよ。お酒が残っていたんだろう」



とエルヴィンはハルの頭を優しく撫でた



ハルは俯き、エルヴィンに撫でられたのは久しぶりだと感じながら「すまない」ともう一度言い直した



そのあと隣にリヴァイがいることに気が付いた



いつからリヴァイがいたんだろうか、というかどれぐらい寝てしまったかと時計を見て確認する



30分ほど経過している。仮眠としては十分な時間だ。



リヴァイが隣で不機嫌そうにしているのが分かった



「・・・・悪いな。二人は何か話してたのか?」



「あぁ、舞踏会の話だ」



そうエルヴィンの応えられハルは一人で納得をしていた



「そうだ、リヴァイ時間とか聞いたのか?」



「さっき聞いた」



「そうか、ならいい。変な女に引っかけられないようにしろよ?」



「はっ、テメーがな」



「大丈夫だ。第一そんなアバズレに話しかけることなんてない」



「恐ろしい王子だな」



「憎まれ口か?エルヴィン」



とハルはエルヴィンの方を見る



ハルは心の中でエルヴィンに変な女が行かないようにしなければ意識が張った












 
 

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