苦い恋に想いは募る

□5 episode
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黄瀬said











まだ数回目になる部活、放課後少し遅れて体育館に向かった



既に練習は始まっていて体育館からは声とボールの音が聞こえていた



「おい!黄瀬おせぇぞ!!さっさと準備しろ!!」



その中ですかさず俺の存在に気づいて声が響いた



俺だって遅れたくて遅れたわけじゃない



でも知らないクラスの子の告白を聞いていたなんて言えるわけないっすよね



「すんませーん!」



その笠松先輩の奥では渚がスコアボードを持って何かを書いている



渚は俺が来たことを分かってるはずなのにこっちを見ようともしない



いつものことだから気にはしないっすけど。



きっと彼女なりにもう練習メニューとか組んだりしてるんだろう



渚の練習メニューは地獄だ。でも確実に実力の付く内容ばかりだ。



緑間っちは元からスリーポイントが上手だったけどそれを更に強化し確実に決めれるようになったのは渚のメニューがあったからだ



勿論俺もその中の一人だ



俺はすぐ準備してストレッチをし練習に混じった



内容は単純でどこの高校でも取り入れているようなシュート練習



その内容だけでまだ彼女が練習メニューを加えてないことが分かる



流石に汗はかくけどやはり中学に比べれは内容はあまりに基礎的で薄い



キリのいいところで休憩が入る



ピーーーーーーーー



みんなそのメニューがきつかったのか壁にもたれ呼吸を整えていた



俺はそのまま渚のところに行った



「渚〜」



といつものように後ろから渚に抱き着いた



渚からは微かにため息が聞こえ渚が肩に掛けていたタオルで汗の滴る頬を拭かれた



「遅刻。」




「仕方ないっすよー、これでも急いだんすよ?」



「モテ男くんは違うねー。ほら汗ふいて。」



と肩にタオルを掛けてくれた



「あと基礎練だからってなめない。水分補給はしっかりして」



と渚に近くに置いていたドリンクを渡された



そういうきちんとしたところは相変わらずだ



俺が口をあけると渚はまたため息をついてドリンクのキャップをあけて口に突っ込まれた



「んぶっ」



「ほら自分で飲め。むせるよー」



そう言いながら渚はスコアボードを持ってどこかに移動するから俺も渚に引っ付きながら跡をついてった






 
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