苦い恋に想いは募る

□7 episode
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黄瀬said









最近撮影が多かった



それで今週も部活まだ数回しか行けれてない



別にめんどくさいとかで行ってないとかじゃくて本当に撮影終了時間がギリギリなんだ



渚の練習メニューももう始まってるっていうのに行かないことなんてない



渚のメニューは体力削られて大変っていうのは当たり前だけど一番効果的だ



明日ならやっと行けるっすね・・・・。



そう思いながら街頭に照らされた道を歩いてた



周辺には建物や道路もあってその音を消すようにイヤホンをして音楽を聞いてた



今日はファンレターとか返さなきゃいけないから渚ん家でご飯食べて自分ん家にもどるっすか



あ、携帯の充電器渚ん家に忘れてたっす



そんなことを思いながら歩いていると薬局から来た女の子に目がいった



渚?



後姿でなんとなくしか見えなかったが横顔で渚だと確信した



その瞬間に頬が緩んで足がそこに早まった



でも続いて出てきた笠松先輩につい足が止まった



え?



一緒に出掛けてたってことっすか・・・・・?



2人で?



「ありがとうございました、」



「いや、お前の家まで送る。」



「悪いです。先輩の家正反対だし、」



手にはなにか買ったであろう袋があった



なぜか妙にイラッとした



「渚ー!!」



俺はそのまま勢いをつけて渚の元に向かって後ろから抱き着いた



渚はいつものように無言でこちらを見ていた



渚の柔らかな香りが鼻を掠めた



「もう、むさい。」



「ちょ、むさいとか!俺まだオッサンじゃないっすよ!」



そう言うと『はいはい、』というように首に回してる腕を軽く叩かれた



「先輩、ありがとうございます。コイツいるんで大丈夫です」



と渚は本題に戻るように笠松先輩の方を見て答えた



俺渚と家近いんで。



そんなことを心の中で言いながら笠松先輩の方を見た



「・・・・・あ、おう。わかった、気を付けて帰れよ」



「はい、笠松先輩も気を付けて」



「あぁ、黄瀬もな。梓を頼んだぞ」



頼んだぞ、ね。



「・・・・はいっす、」



その言葉に微かにイラつきを感じながら返事をした



笠松先輩が帰って行くのを見ながら渚は「帰ろっか」と俺に声を掛けた



俺はその声に従って足を進めた




「今日はお出かけっすか?」



「うん。冷却スプレーとかテーピングとかなくなってたから」



「笠松先輩家まで送ってやるって言ってたのに良かったんすか?」



わざとらしく言葉を投げかける



でも渚はその意味なんかも気づいてないように「だってあの人家反対だもん。さすがに気遣うわ。先輩だし」と答えた



昔から思ってたけど渚は性別の意識が低いと思う



女だから、男だから、っていうのを嫌っているのは知ってるけど鈍感すぎるのも危ない



それはもう中学の時に経験済みだ



「それより明日は来れそうなの?」



「明日はちゃんと行くっすよ!やっと撮影終わったんすから、渚のメニュー楽しみっす!」



そうバスケのことを思い出し答えると渚はそんな俺を見て「なめてると死ぬよ、」とどこか意地悪気な表情を浮かべて俺を見ていた



「ちょ、殺すのはなしっすよ!」



そう答えると「えー」と文句のように声を漏らしながら渚の肩が小さく触れた







 
 

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