GS2
□2009/09/19 針谷
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そもそも針谷がその指輪をつけた理由は。
半年前の少女の言葉だった。
『これ、すごいハリーに似合いそう!』
休み時間の教室で。
少女が指さした、雑誌の1ページ。
いくつものアクセサリーが紹介されていた。
その中にあった、銀製の指輪。
ページの中心を飾っていたわけではなかった。
小さく、片隅に印刷されていたもの。
そして、デザイン。
装飾もなにもない、まさに「銀の帯」だった。
ステージでのインパクトを求める針谷の目には、価値がないように映った。
『シンプルすぎねぇ?』
感じたままを口にしたが。
『そんなことないよ』
少女は「絶対に似合う」と笑い。
それだけで。
指輪を買う理由になった。
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